クローン病のセンパイが回答
しんちゃん氏
患者会 「みえIBD」 会長 / 男性 31歳 / クローン病歴14年目
取材日:2019年11月6日
1988年生まれ。17歳で小腸型のクローン病と診断される。31歳の現在までに3度の手術と約40回の入院を経験。専門学校卒業後は一般企業に勤務しながら、患者会「みえIBD」の会長として、SNSなどを通しての情報発信に力を入れている。
先輩患者さんとの交流で希望を見出す
僕は17歳でクローン病と診断されました。今は31歳になりますが、これまでの14年間で40回を超える入院と、3度の手術を経験しています。
診断された当時はこの病気に関する情報が少なく、しかも目にするのは「難病」、「治らない」、「手術を繰り返す」など、ネガティブな情報ばかり。患者さんの手記やブログにも「半年間入院しました」「3回目の手術です」といったネガティブな内容が多くて、まさに「人生オワタ」と思いましたね。勉強もスポーツもそこそこで、得意なことは何もない、そんな自分が17歳でこんな病気になってしまって、この先、何をやってもどんなに頑張っても無駄だ、という投げやりな気持ちでいっぱいでした。
そんな僕の気持ちを変えてくれたのは、入院中に知り合った先輩患者さんたちです。特に最初のころは入院期間が長かったので、その間に僕と同じように入院していた、たくさんのIBD 患者さんたちと知り合いました。そんな先輩患者さんたちは、皆さん結構楽しそうなんです。仕事をして、結婚をして、子どもがいる人もいる。そういう話を聞くうちに、「病気があっても普通に就職できるし、家庭も持てるんだ」ということがわかって、自分の将来にも希望を見出せるようになりました。
周囲の人たちに支えられ、今の僕がある
高校卒業後は専門学校に進学しましたが、20歳のときには初めての手術を経験しましたし、当時はしょっちゅう入院をしていました。その後、就職活動を経て、内定をいただいた会社に就職するのですが、入社式で倒れてそのまま4ヵ月間入院しましたし、25歳のときには大きなプロジェクトに初めて参加した、そのタイミングで体調を崩して長期入院しました。頑張りたいのに頑張れない、そんなもどかしさを抱えながら過ごしたこの時期は、体力的にも精神的にもとてもつらかったですね。
それでも自分に適した治療法に出合ってからは、入院までの間隔がだんだん長くなっていったんです。それに伴ってできる仕事も増え、大きな仕事を任せてもらえるようになりました。
17歳で「人生オワタ」と思った僕ですが、31歳になった今、健康な人とほとんど変わらない生活を送っています。これも、主治医や管理栄養士さん、親友、高校や専門学校の先生、会社の上司や同僚など、理解ある周囲の人たちの支えがあったからこそで、そういう意味では僕はラッキーだったと思っています。
僕にはIBD患者だからこそ得た経験がたくさんあって、その経験がいまの自分をつくったのだと思っています。ただ一方で、IBDであろうがなかろうが、僕は僕として生きていけばいい、とも思っています。日々病気と一緒に生きていくことを大事にしていきたいですね。