専門医が回答
横山薫 先生
北里大学医学部 消化器内科学 講師
ご所属名・役職名は2022年7月13日時点のものです。
生命保険
IBD患者さんの中には、生命保険の加入を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
かつては「IBD患者」であることを告げると生命保険に入れないこともありましたが、現在では医療・医薬が進歩し、IBD患者さんの予後が良くなってきたことから、さまざまな会社で加入できるようになってきています。
難病患者さん専用の窓口を備えている保険会社や、持病や難病を持つ方向けの「引受基準緩和型保険」がある保険会社などがあります。入院保険や死亡保険など、希望する保障内容と照らし合わせて、自分に合った生命保険を選びましょう。ただし、保険の種類や病状によっては加入できないものもありますので、詳しくは各保険会社にお問い合わせください。
すでに生命保険に加入済みの方では、契約した保険に「難病特約」が付帯している場合があります。契約内容によっては給付金を受け取ることができる場合もありますので、加入した保険会社にお問い合わせください。
主な保険の種類
死亡保険
- 終身保険:保障期間が一生涯続く保険
- 定期保険:保障期間が一定期間に限定された保険
- 養老保険:満期があり、満期時にも死亡保障と同額の保険金を受け取ることが可能
入院保険
- 入院給付金のほか、手術給付金、通院給付金、死亡給付金、特定疾病診断給付金等がある
住宅ローン
IBD患者さんに限らず、慢性疾患を持つ患者さんは住宅ローンを組みにくい場合があるようです。
住宅ローンを組むと、ほとんどの場合、「団体信用生命保険」という、ローン期間中に万一のことが発生した場合の生命保険への加入が求められますが、その審査が通らない場合があるからです。しかし近年では、慢性疾患などを持つ患者さんを対象としたローンプランも登場しており、IBD患者であっても長期にわたって症状が安定している場合などではローンを組むことができる場合もあります。詳しくは各金融機関にお問い合わせください。
参考:NPO法人日本炎症性腸疾患協会(CCFJ)編:クローン病患者が本当にききたいことー140のQ&A, p.162-164, 弘文堂, 2008
福島恒男編集:IBDチーム医療ハンドブック, p.257-260, 文光堂, 2012
NPO法人日本炎症性腸疾患協会(CCFJ)編:潰瘍性大腸炎の診療ガイド 第4版, p.104-111, 文光堂, 2021